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むし展展示作品「月面虫」

石粉粘土作品「月面虫」

さて、本日でむしの紹介も最後となりました。
「月面虫」です。
昨日の「夜間飛行虫」同様、むし展最後の3日間のみに登場した不憫な子。

最後に納品する2匹は、
元祖むし作品「夜光虫」にあやかって
再び星空をメインにしたむしにしようと思い、
夜間飛行と月面というモチーフを選んだわけですが、
調べていくうちに月には地球のような大気がないため、
キラキラと光り輝く、所謂“星空”は見えないということがわかりました…。

あれ?それって常識でしたっけ…。
うっかりギンギラに星を描いちゃうところでしたよ。

ということで、急遽太陽系の惑星たちを描くことにしました。
宇宙飛行士らしき人の背後にある歪んだ青い玉が、
我らが母なる地球です。

そして、月面虫の向かって左の触角の玉が木星、
右が海王星(もしくは天王星)です。

あと、蛇足ですが顔の下の不可思議な物体は、
宇宙船の着陸船のようなものです。

前面はこんな感じなのですが、
私的には背面もぜひ見ていただきたいのでありまして、

石粉粘土作品「月面虫」背面

こんな感じです。
月の裏にはメトロン星人が住んでいるのです。

メトロン星人を知らない方もいらっしゃるかと思いますので、
少し説明させていただいてもいいですか?

メトロン星人は、「ウルトラセブン」に出て来る宇宙人で、
当然地球を侵略しにやって来たのですが、
安アパートで暮らし、
こともあろうにウルトラセブンであるモロボシ・ダンと
ちゃぶ台を囲んで語り合うという、
生活感溢れる今でも非常に人気のある宇宙人です。

メトロン星人については詳しくはWikipediaで
メトロン星人が登場する「狙われた街」の詳細についてはこちら

私、このメトロン星人の回などを監督した、故・実相寺昭雄監督の大ファンなのです。

実相寺監督が手掛けた回は、映像、音楽ともに格調高く、
ストーリーは社会風刺や問題提起を多分に含んでおり、
いずれも見ごたえのある名作揃い。

果たして子供に分かるのか?子供向けに作っているのか?
と思うほど作り込まれているのですが、
監督曰く、
「子供の目はシビアだから、真面目に作らなければいけない」
とのことで、
「今は分からなくても、大人になってあれはああいう意味だったんだと分かってもらえれば良い」
ともおっしゃっていたとのこと。

子供向けだからといって手を抜くことなく、
丁寧に、誠実に作品作りに取り組んでおられたんですね。
実際、印象に残っているウルトラシリーズの作品として、
実相寺監督が手掛けた回を挙げる方は多いようです。

そんなメトロン星人が、つい最近ちょっと話題になったのはご存じでしょうか。

今年6月、ソユーズで古川聡さんが宇宙へと飛び立ちましたが、
古川さんが宇宙に憧れるようになったきっかけがまさに、
「ウルトラセブン」のメトロン星人とモロボシ・ダンがちゃぶ台を囲むシーンだったそうなんです。

TVでそのエピソードを知った時、
実相寺監督の信念やら思想やら想いやらなんやらが宇宙に届いたような気がして、
TVの前で一人胸を熱くしてしまいました。

やっぱり、本当の名作というものはちゃんと人の心に残って、
たとえ作った人が亡くなっても、
その真髄はしっかりと受け継がれていくものなんですね。

そういうものを作るのって、すべてのクリエイター、アーティストの夢なんじゃないかと思います。

 
ということで、この「月面虫」は、実相寺昭雄監督に捧げます。
…と、いうとなんかかっこいいので、本当はもっと単純に、
「メトロン星人、好きだー」とかそういうノリで描いてしまったのですが、
そういうことにさせてください。